世界秩序を変えるロシアの侵攻
ポスト冷戦時代の終わり
ロシアによる軍事侵攻から約2カ月。欧米の支援を受けたウクライナ軍の抵抗にロシアは戦術を転換し、キーウ周辺からは撤兵、東南部の兵力を集中させて攻撃を強め、東部ドンパス地方の支配とクリミアへの回廊設置に向かっているようにみえる。
西側社会はロシアの非人道的な侵略戦争を糾弾し、経済制裁を強化するとともにウクライナへの軍事支援に注力するが、戦争は長期化しそうだ。
仮に停戦が実現しても、ロシアのウクライナ侵略がもたらした破壊的インパクトは世界の秩序を大きく変えることになるのは間違いがない。
ポスト冷戦期はここに終わりを告げ、グローバリゼーションをたどった世界は再び分断に向かう。
分断への流れを変えることはできるのか。
厳しい戦略的分断の世界に
核政策も大きく変わる
核を持つロシアが国際法や人道法といった規範を全く無視した行動は世界に衝撃を与えた。同時に核大国の暴走を止められないことへの無力感と不安が世界を覆う。
米国はあらかじめ侵略の意図を知りながら、ウクライナは同盟国ではないから軍事介入することはしないと早い段階で表明し、ロシアの正面切ってのウクライナ侵略を許した。