「NBA Top Shot」では、NFTが100万ドルに

 ウェブ3.0を考える上で、NFTの発行が急増していることは見逃せない。その象徴的な企業が、米国のダッパー・ラボだ。2020年10月、同社はNBAの名プレーシーンをNFTとして集めるゲーム、「NBA Top Shot」を始めた。

 NBAトップ・ショットは、ダッパー・ラボが開発・運営する「Flow」と名付けられたブロックチェーンが管理する。もともとダッパー・ラボは、他社のブロックチェーンを利用していたが、処理速度が遅いという問題があった。そのため、新しいブロックチェーンのFlowを自社開発し、より円滑な取引環境を利用者に提供している。

 取引の仕方はこうだ。まず、NBA Top Shotの公式サイトにアクセスして、デジタル化されたトレーディングカードのパックを購入する。これは、有価証券の発行市場になぞらえることができる。

 カードと呼ばれてはいるが、実際に購入するのは短い動画だ。パッケージには、ふつう(Common)、珍しい(Rare)、レジェンド(Legendary)の三つの区分があり、右に行くほど希少性が増し、価格も高くなる。イメージとしては、かつて子供に人気だったプロ野球選手のカード付きスナック菓子を買うことに似ている。

 また、公式サイトのマーケットプレイス(流通市場)にアクセスし、他の保有者からデジタルカードを購入したり、売却したりすることもできる。決済はイーサリアムやビットコインといった仮想通貨、クレジットカードなどで行い、ダッパー・ラボは決済の手数料を獲得する。その他、カードを獲得できるイベントも開催されている。

 ブロックチェーンが管理するNFTは、その一つ一つが唯一無二のデジタル資産だ。偽造はできない。デジタルであるため劣化もしない。そのため、NBAファンは、いつでもお気に入りの名選手の名プレーを、自分だけのものとして楽しむことができる。

 そうした希少性を担保する仕組みと、希少なカードを集めたい欲求が重なった結果、NBA Top ShotのNFT価格が高騰した。一例として、マーケットプレイスでは、ロサンゼルス・レイカーズに所属しているレブロン・ジェームズ選手のNFTが、100万ドル(約1億2800万円)で売りに出されている(4月19日アクセス時点)。