育成担当の役割と基本的なスタンスと必要なスキル

 リモートで若手社員を育成する際には、育成担当者の役割や、求められることも変わってきます。育成担当者はどんなことを意識すべきなのか、重要なポイントを整理していきましょう。

(1)役割は明確に、育成担当者はできれば複数付ける

 離れているメンバーの育成をする場合は、特に育成担当の役割を明確にしておくことが大切になります。育成のメイン担当や○○業務の育成担当など、役割を分散させることができる体制であれば、複数の担当者で役割分担をしておくとよいでしょう。職場によっては、そんなに多くのメンバーがいない場合もあるでしょうが、そのような場合には他部署とも連携することが望ましいです。

 複数で育成を担当した方がよい理由としては、一対一で教える人・教わる人の関係性だけだと相性が合わなかった場合に、教わる側に逃げ道がなくなることが挙げられます。オフィスでそのやり取りを見られるのであれば、うまくいっていない様子に気付く誰かが介入するということもあるでしょう。しかし、テレワークでの育成の場合には、二者間のみのやりとりになりやすいため、うまくいかない場合も想定して、複数の育成担当を業務内容や業務範囲に分けてアサインすることをお勧めします。

(2)育成対象に向き合う上で必要なマインドは「性善説」

 育成担当者として、育成の対象者に対してどんなマインドを持つかは非常に大切なことです。どんな対象者であっても、基本的には「性善説」で関わることが重要です。特に2020年以降急激に広まったテレワーク下で入社した人は、社会人とは?組織とは?ということを、頭で教わっていたとしても肌身で感じられる時間が極端に少ないことでしょう。育成する側がそれまで当たり前だと思っていた常識が通用しないことも多いのです。

 たとえば、「『報連相(ほうれんそう)が大切だ』と言われても、上司の様子も見えない状況でどのように報告・連絡・相談をしたらいいのか分からない」という声も多いです。それを、「主体性がない・コミュニケーション力が低い」と育成対象者を責めるように関わってしまっては、救いのない状況になってしまいます。

 育成担当者にとっての「性善説」とは、対象者の成長を信じて応援する気持ちを忘れずに育成に向き合ってほしいということです。見えない相手だからこそ、まずは「性善説」で関わり、次の項目で紹介するスキルを育成担当者が高めていくことが大切なのではないでしょうか。