かつて利回りを追求する投資家が世界中から集まっていたアジアのジャンク債(投資不適格級債)市場が劇的に縮小しており、起債にも急ブレーキがかかっている。
1年半足らず前は、中国からインドネシアまで地域の発行体によるドル建てジャンク債市場は活況を呈していた。中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ・グループ)を筆頭とする中国不動産開発業者による起債がけん引する形で、その規模は3000億ドル(約38兆7200億円)に迫っていた。
ところが、その後に相次いだデフォルト(債務不履行)や大規模な売りで投資家は巨額の損失に直面。ある主要債券インデックスからは1000億ドル以上が吹き飛んだ。ブルームバーグとバークレイズ・リサーチのデータによると、アジア高利回り債の合計規模(デフォルト除く)は現在およそ1840億ドルとなっている。
バークレイズのアジアクレジット戦略部門のマネジングディレクター、アバンティ・セーブ氏は「これは特にアジアのクレジット市場において、全く異例の事態だ」と述べる。
同氏によると、中国不動産セクターの高利回り債はいずれも経営危機に陥っているかのように扱われている。デフォルトしていない開発業者が発行した債券のうち、6割は額面1ドル当たり0.40ドル未満で取引されているという。