法人はデジタルスキルやビジネスコミュニケーション
個人は資格や副業に活かせるスキルが人気

 世界最大級のオンライン学習プラットフォーム「Udemy」の受講傾向を見ると、膨大な講座がある中、個人会員と法人会員ともに、クラウドやデータサイエンスなどのデジタルスキルや、Web関連のリテラシー向上などの需要が根強いという。

 特に、法人会員では、上記に加え、オンライン会議のためのプレゼンテーションやファシリテーションといったビジネスコミュニケーション、個人会員では、資格に関する講座など学習内容がキャリアにつながりやすいものや、Webデザインなど副業に活かせるスキルの講座などが好まれているとのことだ。

 もう少し詳細を見てみよう。2021年の法人会員に人気だった講座は、生産性向上のためのExcelの高度な技能習得、事業計画のExcel応用法、プレゼンテーションスキルやPowerPoint活用法、リモートワークを円滑にするためのチームビルディングやコーチング、オンライン会議やウェビナーなどのイベントでのファシリテーション力などで、AWS(アマゾンのクラウドサービス)関連、情報セキュリティ、マーケティングストラテジー、新規事業創出のためのデザイン思考、アート思考、DXなども人気がある。

 2021年の個人会員に人気だった講座は、AWSの各種講座、AWSの認定資格、Python(プログラミング言語)、Excel、サイト構築、WordPressによるWebデザインやページ制作などだった。飯田氏によると、より仕事に直結するもの、副業に活かせるものが多い印象だという。

 コロナ禍の前と後で、受講者の傾向に変化はあったかを聞いたところ、ビジネスコミュニケーションに関する受講が増加傾向にあるという。

 リモートワークは、対面でのコミュニケーションとは違うスキルが求められるため、オンラインでの話し方、プレゼンテーション、コーチング、ファシリテーションなどが人気を博しているようだ。テクノロジー関連に関しては、コロナ禍以前から需要が高まっており、その傾向に大きな変化は見られないとのことだが、新たな技術やツールの登場に合わせて最先端のものがより多く受講されている。

 また、コロナ禍以降、若い世代のオンライン学習者が増加している。従来は、知識や技能の習得は、書籍や対面式の講座を通じてが一般的だったが、オンライン上や動画講座で学ぶことへのハードルが下がり、有効な選択肢として浮上したことがうかがえる。女性の学習者も増えており、Word、Excel、PowerPoint、プレゼンテーション、英語、データサイエンスなどが人気があり、動画制作やWebライティング、WordPress、Webデザインに関する学習のニーズも増加傾向にある。

 飯田氏は「コロナ禍になって、ほかに選択肢がないのでオンライン学習を体験してみたところ、意外に悪くないという感触を持ち、オンライン学習そのものや、対面との組み合わせのハイブリッドが、リスキルと相性が良いことが理解された」と見ている。

 コロナ禍の前と後を比較した際の、もうひとつの大きな変化として、「研修自体のDX」という潮流が見られると飯田氏は言う。