SDGsをテーマに
工作キットなどを開発

副資材の段ボールを活用し“主役”となる自社商品を生み出す段ボール廃材を活用した工作キットで子どもの自由な発想やSDGsへの関心を育む

 多品種を手がけることで蓄積した知見、経験値を経て、梶谷氏が新たに挑もうとしているのが、脇役ではなく主役となり得る自社ブランド商品の開発。そこで主軸に据えるテーマがSDGsだ。

 段ボールは古紙のリサイクル活用が基本ではあるが、コロナ禍による宅配便市場の拡大も影響し、生産量増加とともに製造過程で生み出される二酸化炭素排出量の増加が課題になっているという。

 そこで、同社ではカットした段ボール板や型抜き後の廃材などを生かした工作キットを考案。「従業員のお子さんに作ってもらった工作品を町のマルシェで展示するなど、段ボールを通じて環境への関心を持っていただくきっかけにできればと開発を進めています」(梶谷氏)。 

副資材の段ボールを活用し“主役”となる自社商品を生み出す30~40代を中心に若い従業員が活躍する
●有限会社三万 事業内容/段ボール、紙器、緩衝材など包装資材製造、従業員数/18人、所在地/岐阜県関市下有知5508-1、電話/0575-22-8240、URL/i-sanman.com

 さらに、既に商品化した段ボールを使った「おさかなカップホルダー」や、試作品として時計やテーブルなども考案。「今後は従業員からもアイデアを募り、売り上げの10%を目標に新事業を確立していきたいですね」と意気込む。

 コロナ禍にあって多くの企業が事業モデルの転換を求められ、さらに今後は、世界情勢の影響から燃料や資材、物流コストの上昇も経営課題としてのしかかる。先行き不透明な情勢下、注文を待つ受け身の姿勢から、攻めの姿勢で、副資材ではない時流に合わせた自社商品で新旋風を巻き起こしたいという同社。チャレンジ精神と自由な発想を育むための働きやすい環境の整備にも取り組む構えだ。

(「しんきん経営情報」2022年6月号掲載、協力/岐阜信用金庫