日本企業への就職希望者も急増!?

 中国で何らかの形で封鎖状態に置かれている都市は5月上旬で40都市以上、影響を受けている人口は約3億2790万人(米メディアCNBC)ともいわれている。中国ではこれほどの人口が“暗黒生活”を経験したことになる。

 その中国から脱出したいという若者が少なからず存在することは否定できない。

 中国政府が出国を規制したのは、「移民」や「出国」を検索する国民が増えたからだとみるのが妥当だろう。実際、日本には中国からの就職希望者が増えているという。アジア人材の雇用に詳しいコンサルティング会社の経営者は次のように語っている。

「上海がロックダウンに突入するのを前後して、中国から日本企業への就職希望者が軒並み増えました。履歴書の来日動機は『中国の未来に自信が持てない』とまではっきり書く人もいて大変驚いています。かつてこのような来日動機を私は目にしたことはありません。中国では“駆け込み出国”に近いことが起こっているのではないでしょうか」

 ロックダウン中の上海からは出国しにくいが、別の都市から日本に出国することはできる。パスポートが手元にある人は「このチャンスを逃すまい」という心境だろう。その一方で、パスポートを新規に発行しようとする人にとって出国はハードルが高い。

 国家移民管理局によると、2021年上半期のパスポート発行量は33万5000件と、2019年同期比でわずか2%にすぎない。当局は「なんだかんだと理由を付けて、パスポートを作らせない傾向があります」と、この経営者は語る。

 浦東国際空港で留学希望者のパスポートが当局によって切断されたというまことしやかなうわさも流れた。大量の人材流出は間違いなく国家にとってダメージを与えるが、習指導部は国民を自宅に幽閉し、さらに国内に閉じ込めて思いとどまらせる算段だ。いくら金があったところで当局から逃れることはできない中国の若者たちの不満のマグマは爆発寸前にある。