ドイツと中国の企業は長らく、これ以上は考えにくいほど緊密な関係を維持してきた。だがここにきて、友情と利害関係で結ばれた絆にほころびが生じてきているようだ。最近の例では、中国で企業が政治絡みの理由で損失を被った場合に補償する保険について、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)がドイツ政府から更新を拒否されたとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が先週報じた。独政府は、中国新疆ウイグル自治区での人権侵害を巡る懸念が理由だと説明しており、新疆地区にはVWの工場がある。同社は、自社の工場で強制労働は行われていないとした上で、中国が世界の経済成長をけん引するとの見方に変わりはないと述べた。ドイツに限らず欧州企業の幹部からは最近、中国についてさまざまな発言が出ている。独化学大手BASFの最高経営責任者(CEO)は、英紙エコノミストとのインタビューで中国について強気の見方を示した。一方、欧州連合(EU)の在中国商工会議所が4月に行った調査では、既存もしくは計画中の投資を他国に移すことを検討していると回答した企業が4分の1近くに達した。この割合はここ10年で最も高い水準だ。