ついに、昨日4月1日、揮発油税の暫定税率の期限が切れ、ガソリン値下げが現実のものとなった。

 石油元売り各社およびガソリンスタンドでは既に混乱が起こっているようだ。ガソリン販売業者にとっては、値段を下げるときも大変だが、与党が目指す1ヵ月後の再可決が行われた場合、再び値上げする時が大変かと思われる。お客の反応を考えると、値段を下げた分全てを上げ直せないかも知れない。

 素朴に考えると、大幅値下げを税金負担で出来るのだから、1ヵ月分の「特需」がある分だけガソリン販売業者が儲かっていい筈だが、ガソリン価格に顧客の注目が集まって価格競争が激化するとマージンを吐き出すことになって、結果的に損をすることになるかも知れない。

 ただ、今回のガソリン税騒動で、我々が税金を幾ら払っていたのかを、はっきりと目にすることができたのは一つの収穫だ。他にも、仮にビールの税率が下がったらどうなるだろうかなどと想像を巡らせることもでき、税金というものを改めて考える機会となった。これは、「ねじれ国会」の副産物といえるだろう。ちなみに、日銀総裁人事の混乱で得られた副産物は、福田政権に対して財務省の力がいかに強いかをよく理解できたことだった。

新聞論調と国民意識には
ややズレがある

 今回のガソリン税問題では、単純な時間切れになるかと見えたが、さすがに福田首相も土壇場で手を打ってきた。2009年度には一般財源化すると約束し、しかも民主党との協議が不調に終わってもこれをやり抜くとまで明言した。これが実現するなら、小泉政権、安倍政権がついに手を付けられなかった道路特定財源で、大きな前進を果たしたと言える。

 一般財源化は好ましい動きなので、皮肉は言いたくないが、「暫定税率は即刻元に戻す(実際は早くて1ヵ月後になるが)が、一般財源化はOK」という福田提案の組み合わせは、歳入に穴は空けたくないが、予算上の権限が拡大するので、財務省の省益にかなっている。

 福田提案に対する世の中の声はどうか。新聞各紙は、「一般財源化」への踏み込みを高く評価し、ボールは民主党にある、という論調の社説が大半だ。永田町、霞が関を取材している新聞記者にしてみると、道路財源の非聖域化が大変なことであるように思えるのだろう。