自民の過半数維持が焦点の衆院選、解散の裏に「陰の守護神」の剛腕10月9日、選対本部会議を終え、取材に応じる自民党幹事長の森山裕(右)。歴代政権で選挙に関連して剛腕を振るってきた森山は自民党政権の「陰の守護神」といえた Photo:JIJI

 第50回衆院選挙は15日公示された。石破茂(67)が首相に就任してからまだ半月。全てが異例の選挙戦が始まった。焦点は裏金問題の直撃を受けた自民党が過半数の233議席を維持できるか否か。石破が掲げた勝敗ラインは「与党で過半数」だが、選挙後の政変の可能性も否定できない。背水の陣を敷いて選挙戦全般の指揮を執るのが幹事長に就任した森山裕(79)だ。

 立候補者が乱立した自民党総裁選当初から「誰が総裁になっても幹事長は森山」(自民党幹部)といわれてきた。森山は安倍晋三、菅義偉の両政権で国会対策委員長を務め、歴代最長の在任記録を残す。岸田文雄政権では選挙対策委員長として新しい区割りに基づく10増10減の候補者調整を仕切った。この調整が終わっていなければ今回の解散は不可能といってよかった。裏金問題では総務会長として関係議員に対する聞き取り調査の座長を任された。いわば自民党政権の「陰の守護神」が森山だ。

 この森山に岸田は全幅の信頼を置いた。岸田がまだ自民党総裁選での再選を模索していた段階で森山は「石破幹事長」を進言したこともあった。しかし、石破は難色を示し、岸田は再選を断念して総裁選に突入した。ただし岸田は新総裁決定直後の衆院解散・総選挙に強いこだわりを持っていた。周辺にこう語っていた。

「自民党が勝つために自ら身を引いた。早期解散しか自民党の勝機はない」