衆議院議員選挙の結果は自由民主党、公明党両党合わせても過半数割れという与党惨敗となった。今回の選挙前後の株価の動きは、投票日前に下落、自民過半数割れでも上昇というこれまでの経験則に反するものだった。その理由を検証するとともに、為替動向も含めて相場の先行きを分析する。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
経験則に反し解散後から
投票日までの株価が下落
10月27日に行われた衆議院議員選挙は、自由民主党、公明党の惨敗に終わった。自民、公明両党の議席を合わせても過半数に届かなかった。
今回の投票日前後の株価の動きは2つの経験則に反するものだった。
衆議院の解散から選挙の投票日までは株価が上がるというのがこれまでの経験則だった。1993年以降、2021年までの10回の解散総選挙では全て日経平均株価が上昇した。選挙に向けて、景気刺激策などが公約として示されることで先行きの景気浮揚期待が高まることなどがその背景にある。
しかし、今回は自公で過半数割れが確実視されるにつれて日経平均は下落基調に転じた。10月15日の3万9110円をピークに投票日前々日の25日には3万7913円にまで値を下げた。
これまでは自民党の苦戦が選挙前に予想されても自民党中心の政権は維持されるという見通しが立つ選挙がほとんどだった。自民党が大敗した09年の総選挙においても民主党中心の政権が誕生するという見通しは選挙前からあった。
その意味で過去10回の選挙と比べて、選挙後の政権の姿、経済政策動向などが不透明になったことを市場が嫌気したとみられる。
選挙後の株価の動きも経験則に反するものだった。自民党の単独過半数割れは、93年以降21年までに5回あるが、そのうち投票日1カ月後の株価が投票日前を上回ったのは1回、下回ったのが4回である。
上昇したのは、衆議院の選挙制度が中選挙区だった93年。大政党に比較的有利な現在の小選挙区比例代表並立制が導入された96年以降の過半数割れ時には全て下落している。下落するケースが多いのは、自民党が敗北することで景気に前向きな施策が実行される可能性が低くなるとみられるからだ。
ただ、今回は選挙の翌日の10月28日以降、日経平均は3連騰した。31日、11月1日と下落はしたものの、選挙前の水準は上回っている。さらに、ある「2つの前提」が崩れなければ、日経平均は年末にかけて再び4万円を目指す可能性もある。次ページで、その理由を明らかにする。