サブスクの支払いがあるからと
クレジットカードを退会できないケース

「自動引き落とし先をストップすれば、継続的な支払いが止まる」という認識は、残念ながら甘い。

 筆者は5年ほど前からデジタル遺品に関する相談をサイトで受け付けているが、過去にこんな話を本人から聞いたことがある。

 中部地方に暮らすAさん(60代)は、1年前に実家で一人暮らしをしていた兄を亡くした。遺品整理を進めるなかで、祖父の代からの不動産や生命保険の確認など難題がいくつも現れたが、なかでも手を焼いたのがクレジットカードの退会手続きだったという。

 クレジットカード会社の窓口は、事情を伝えても「債権が残っているので退会できない」と譲らない。毎月1200円ほどの引き落としがあり、その債権が止まないと退会手続きに進めないのだという。それでいて、プライバシー保護の観点から債権の詳細は教えられないとのこと。

 閉口するしかなかったが、粘り強く交渉しているうちに支払い元の情報が少しずつ見えてきた。手元の情報と照らし合わせたところ、どうやら動画配信サービスと英会話アプリの月額課金が残っていると判明。それぞれのサービスに掛け合って解約したところ、ようやくクレジットカードを退会することができたそうだ。

 また、長年相続関連の仕事をしているBさんからは、亡くなった家族の銀行口座を凍結したところ、その後も毎月500円の出金が続いた事例があり、対応に苦労したとの話も聞いた。こちらも定額サービスの自動引き落としによるものらしい。