ウクライナ危機をきっかけに、世界的にインフレが加速している。とりわけ気掛かりなのは、トウモロコシの価格上昇と急速な円安だ。いよいよ、日本にもスタグフレーションにさらされる可能性が出てきている。(マーケット・リスク・アドバイザリー共同代表 新村直弘)
トウモロコシの価格上昇リスクは
無視できない
世界的なインフレが進む中、日本でも食品をはじめ、さまざまな商品の価格が上昇を始めた。
コロナショックに始まったサプライチェーンの混乱や行き過ぎた経済対策と金融緩和、異常気象に伴うエネルギー需要の増加など、そもそも資源価格に上昇圧力がかかっている状況だった。
そこに、ロシアのウクライナに対する軍事侵攻を受けた「脱ロシアの動き」が加わり、物価上昇に拍車をかけた。
ウクライナ危機以降、世界の市場関係者がとりわけ注目しているのはエネルギーや小麦などの価格である。
その中でも、筆者が注視しているのは、トウモロコシだ。エネルギーにも利用され、かつ、飼料にも用いられるトウモロコシの価格上昇リスクが無視できなくなっているからである。
まずはトウモロコシの需給について、米農務省のデータをもとに整理したい。