米連邦準備理事会(FRB)の量的金融緩和が今月11月から段階的に縮小されること(テーパリング)が決まった。詳細はメディアの報道記事に譲るが、見込みでは来年6月にはFRBによる債券類の新規購入がゼロとなり、同年後半には短期政策金利の引き上げが見込まれる。
ただ、景況面ではインフレ率が上振れる一方で、景気動向に一部鈍化の兆しも現れ、物価高と景気低迷が同時進行するスタグフレーションの可能性を語る声も聞かれる。
景気後退が起こらずとも、インフレ率の上振れが予想以上に持続した場合、超金融緩和の終了から金利引き上げに移行する来年にかけて、債券市場の利回り上昇(価格下落)が予想以上に大きくなるリスクを懸念する声もある。その時には大幅な債券安・株安の激震に見舞われることもあり得よう。
今回はこうしたリスクについて考えてみよう。結論から言うと、インフレ率の上振れは来年年央、遅くとも第4四半期までには収束に向かう公算が大きい。
新型コロナショックからの景気の強いリバウンド局面も同時に終了に向かうが、景気回復の基調は継続するだろう。2022年の後半にゼロ金利政策の解除、金利の引き上げが始まっても、そのテンポは比較的緩やかなものになるだろう。
また、超金融緩和の解除を受けて、割高感の出ている米国株式市場は、相応の反落調整局面を迎えるだろう。ただし、2000年代以降の3大反落であるITバブル崩壊(2000~01年)、リーマンショック(2008~09年)、新型コロナショック(2021年2月~同年3月)のような大反落にはなりそうにない。筆者の投資スタンスとしては、直近高値から10%かそれ以上の中反落場面を待って買い増しするつもりだ。