バイデン大統領は、ホワイトハウスからテレビ出演し、議会での行動を訴えています。彼は、殺傷能力の高い「アサルト・ライフル」の全面的禁止、大容量弾倉および追跡不可能なゴーストガンの規制を求めました。ただ、規制を要請しながらも大統領は、アクションは起きないと思っていたのではないでしょうか…。

 一部の上院議員は、他の議員が休暇を楽しんでいる間に会合を開きました。この(国会議員や地方議会の議員が政党の枠組みを超え、共通の目標に向けて協力しあう)超党派グループは、民主党のクリス・マーフィー上院議員が主導しています。

 彼は先頃、上院で「規制法案に賛同する10人の共和党員」を求め、4人の賛同を得ました。このグループはバックグラウンドチェック(身元確認)の抜け穴の是正や、危険な人物から銃を押収するための「レッドフラッグ(危険信号)」制度の整備など、少しずつ行動を起こしていくでしょう。

 生半可な策とささやかれながらも、マーフィー議員のグループは規制を求めて訴えてくれます。ですが、それを採決するには60票の賛成が必要です。そして、そこにはいつも…子どもたちが殺害されようが何だろうが、銃器廃絶に頑なに反対する民主党の2人の議員の妨害があるのです。これはまだまだ、長い道のりと言うしかありません。

 当然私たちは皆、何をすべきなのかを知っています。ですが、それを積極的に口にする権力者はほとんどいないのが事実。米国の銃乱射事件で使われたような銃は、絶対に存在してはならないのです。その代わりにこれらの銃器を溶かし、溶けた鋼鉄で犠牲者のための記念碑をつくるべきです。

アメリカに住む親が持つべき希望

 ユヴァルディでの銃乱射事件の翌日、末の息子を学校に送っていったときに、私たちは息子にその事件のことを話してはいませんでした。事件の恐ろしさが衝撃的で、6歳の子どもにそれを打ち明けるのは難しいと感じたのです。ですが彼は、学校で他の子どもからこの事件のことを聴いてきました。

 その子は、クラス全員にこの事件の話をしたのです。担任の先生は、その混乱を収拾しなければなりませんでした。先生は保護者全員にメールを送って、すべての事情を知らせてくれました。それが教師の仕事だからです。私たちは息子が帰宅したときに、事件のことを説明しなければならないことを知り、必死で言葉を見つけようとしました。やっとのことでその話を持ち出しても、息子は話そうとしませんでした。「悲しすぎる」と言って、泣きじゃくるだけです。私たちにできるのは、ただ彼を強く抱きしめ、受け止めてあげることだけだったのです。