スポットワーク仲介最大手のタイミーが12月12日に発表した決算を受けて、同社の株価はストップ高となった。拡大を続けるスポットワーク市場は、労働市場における大きなリスクを抱えている。そして、最も割を食うのが40代以上の氷河期世代だ。企業は笑い、労働者は苦しむ…日本経済に悪影響を及ぼしかねない、スポットワークの構造的な問題を解説する。(文/ノンフィクションライター 窪田順生)
“タイミーさん”の約半数が
40代以上の衝撃
「スキマバイト」と聞くと「若者や学生がやるもの」という印象を抱く人も多いだろう。
なぜかというと、そういうイメージを訴求する広告が多いからだ。例えば、スキマバイト最大手であるタイミーが最近までオンエアしていたCMでは、25歳の人気女優・橋本環奈さんが起用されていた。
また、少し前にはタイミーが「闇バイト」の募集に悪用されていたのではという話が注目を集めたことで、「スキマバイト利用者=手っ取り早く稼ぎたい若者」というイメージがさらに社会に浸透している。実際、スキマバイトを取り上げたニュースの中には「20代を中心に利用者が増える」なんて説明しているものも少なくない。
だが、実はそのイメージは誤りだ。今やスキマバイトの中心は40代以上の中年世代となってきている。
タイミーが今年7月に公表した「事業計画及び成長可能性に関する事項」の「タイミーワーカーの属性」を見ると最も多い世代は確かに20代(28%)なのだが、そこに続くのは40代(23%)となっている。しかも、40〜60代を合わせるとほぼ半数(47%)を占めているのだ。
ライバルのメルカリハロの登録者の属性調査でも、20代は30.4%と最も多いが、40代も20.3%、50代以上も18.1%となっている。世間が思っている以上にスキマバイトをしている中高年世代は多いのだ。
そう聞くと、「幅広い世代の人たちが多様な働き方ができるようになっていいことじゃないか」と感じる人もいらっしゃるだろうが、筆者の考えは違う。