VDT症候群,オメガ3系脂肪酸,眼,目,涙写真はイメージです Photo:PIXTA

 パソコンと向き合っているうちに眼の充血や乾き、痛みに悩まされるVDT症候群。

 予防目的でモニターから放射されるブルーライトをカットする眼鏡をかけたり、目に良いとされるサプリメント(サプリ)を飲んでいる人も多いだろう。果たして効果は証明されているのだろうか。

 豪メルボルン大学の研究グループは、日本を含む世界各国から報告されたVDT症候群に関する45の臨床試験について、系統的に解析を行っている。

 その結果、ブルーライト・カットレンズvs普通のレンズでは、眼精疲労に差はなく、ドライアイ症状の改善についても差はつかなかった。双方とも眼鏡の装用による不都合や有害な症状はなく、まずは「毒にも薬にもならない」といったところだろう。

 サプリはどうだろうか。眼精疲労に効くと利用されているベリー類のエキス剤については、プラセボと比較して、ドライアイの改善や見え方の質および生活の質に関する差はつかなかった。

 一方、オメガ3系脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)服用群とプラセボ群との比較では、45日~3カ月間のサプリの服用で、眼精疲労症状とドライアイが有意に改善。数値化すると症状の2割が軽減されていた。高用量(1日EPA1440mg+DHA960mg)では、胃もたれや吐き気などが生じたが、そのほかの副作用は認められなかった。

 もう一つ、効果が示唆されているのがβカロテンやルテインなどに代表されるカロテノイドだ。こちらもプラセボ対照の臨床試験で、弱いながらも眼精疲労の軽減が確認されている。

 さて、EPAとDHAは近年、涙が眼の表面にとどまって潤す「安定性」の改善に作用するほか、涙液中の炎症性物質を減らす可能性が指摘されている。

 日常生活からモニターを排除することが難しい以上、意識的に眼を休ませる時間をとり、食事やサプリでケアをする必要もあるだろう。まずは今日の昼食に、EPAとDHAたっぷりのイワシの梅煮などはいかがでしょうか。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)