岸田首相の「節電ポイント」
効果は見込めるのか?

 私の家では電気は東京ガスから買っていますが、確かにウクライナ侵攻後の原油高でここ数カ月、びっくりするほど電気代が上がっています。とはいえ、すでに照明もLEDに変更し、クーラーや冷蔵庫、洗濯乾燥機も節電型に取り換えた後なので、あとできることはこまめに電気を消すぐらいです。

 そこで、どこまで節電ができるかということですが、東京ガスの仕組みを例に考えてみましょう。

 一般家庭が東京ガスで節電キャンペーンに参加する場合、節電をしてほしいタイミングで東京ガスからメールが届きます。例えば、夏場の16時から19時のように一番電力がひっ迫しそうな時間帯をポイントがたまりやすい「節電チャンス」として教えてくれるのです。まさに、デマンドレスポンスです。

 タイミングと同時に、電気を節約できる方法も伝授してくれる仕組みになっています。たとえばエアコンの設定温度の見直し、照明を消す、テレビを消すといった具合に節電効果が高いアクションを教えてもらえるのです。そして、与えられるポイントは「キャンペーン前の通常時における平均値と比べて、節電チャンスの時間帯にどれだけ電力使用を抑えたか」で評価されます。

 今年2月の東京ガスの実証実験によると、節電に頑張って協力した家庭は4000円分のポイントに到達したということでした。この夏も、アマゾンギフト券が最大4000円分獲得というターゲットが設定されるようです。

 ちなみに例年の例で言えば、夏の電力需給がひっ迫する時間帯は11時台と13時から16時までです。なので、単純に節電ポイントをもらいたい人は、上記の時間帯に電気を消して、お出かけすると一番ポイントを稼げます。

 まだ暑くなる前の9時台に家を出て、図書館などで時間をつぶし、暑さがやわらぐ16時頃に読書を終えて帰宅するようなイメージでしょうか。とはいえ、外出先にショッピングモールを選ぶと節約分よりもお金を使ってしまうかもしれませんね。

 さて、家計の節約という観点では、この節電ポイントはゲーム感覚で取り組めて面白いです。

 しかし、「そもそもなぜ電気代が上がっているのか」を考えると、別の問題が浮かび上がってきます。そのことも考えてみたいと思います。