決算書100本ノック2022夏#味の素Photo:SOPA Images/gettyimages

大手食品メーカー・味の素が絶好調だ。2022年3月期決算では、過去最高益を更新した。「アセットライト(資産圧縮)」を標榜し、重要指標として掲げるROICも右肩上がり。しかし、そんな味の素も重要課題を抱えている。特集『決算書100本ノック!2022夏』(全21回)の#18では、空前の好決算の裏に潜む味の素の“アキレス腱”について詳説する。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

「週刊ダイヤモンド」2022年6月25日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

味の素、3年連続過去最高益更新中
重要指標「ROIC」も絶好調

 大手食品メーカー、味の素の勢いが止まらない。2022年3月期は売上高が前期比7.3%増の1兆1494億円、日本基準の営業利益に相当する事業利益は、同6.9%増の1209億円で着地した。

 目下のところ、長引くコロナ禍やロシアのウクライナ侵攻による、原材料高や資源高のコスト増を吸収し切れず、食品メーカーでは、減益に陥るケースが後を絶たない。それでも、味の素は3期連続で過去最高益を更新中であり、業界内の数少ない勝ち組だ。

 味の素では、投資した資金がどれだけ効率的に利益に結びついているかを示すROIC(投下資本利益率)を重要指標と位置付けている。過去最高益の更新により、ROICも右肩上がり。20年3月期には3.0%だったが、22年3月期は7.9%となり、「26年3月期に10%を達成する」青写真を描いている。

 ROICは一般的に、「税引き後営業利益」を自己資本と有利子負債を合わせた「投下資本」で割ることで算出される。それ故、ROICを向上させるには、事業利益などの分子を大きくするか、不採算事業の売却などで分母を小さくすることが鍵となる。

 味の素は、分子の改善に加え、分母の縮小にも着手。欧州の動物栄養事業やコーヒーブランド「ブレンディ」など不採算事業を売却した上、政策保有株を手放している。23年3月期までの3期で1000億円規模の資産圧縮、つまり「アセットライト」を掲げ、その進捗は順調に推移しているかのように映る。

 絶好調決算に沸く味の素だが、実は「ある重大課題」を抱えている。

 次ページでは、空前の好決算に潜む味の素の“アキレス腱”を明かすと共に、味の素が着手しようとしている「二つの看板施策」についても解説する。