決算書100本ノック2022夏#21Photo:vladru/gettyimages

自動車産業は裾野が広く、完成車メーカーを頂点とするサプライヤーピラミッドを形成している。近年、完成車メーカーやティア1(1次下請け)などピラミッドの上位企業が好決算を挙げる中、それ以外の中下位サプライヤーが潤わないケイレツ格差が問題視されるようになってきた。実際に大企業による下請けイジメは存在するのか。特集『決算書100本ノック!2022夏』(全21回)の最終回では、大企業による搾取構造を示す衝撃データを明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)

「週刊ダイヤモンド」2022年6月25日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

トヨタグループで浮き彫り
サプライヤーの「ケイレツ格差」

 東海3県の「トヨタ自動車グループ」下請け企業調査(2021年)──。昨年6月、帝国データバンクが公表したトヨタグループのサプライヤー調査が大きな波紋を呼んでいる。

 20年度の業績において、トヨタ系サプライヤーのうち7割超が「前期比で減収」になるという衝撃的な結果が得られたからだ。

 トヨタや1次下請けなどサプライヤーピラミッドの“上位企業”が好決算を挙げる中、ピラミッドを構成する多くの企業が潤わない「ケイレツ格差」が浮き彫りになった形だ。

 実は自動車産業で「大企業による搾取構造」が明らかになっているのは、トヨタグループだけではない。次ページでは、実際に下請けイジメが行われていることを示す「自動車産業のデータ」を公開する。