毛沢東が就いた「党主席」を
習近平は復活させるのか?
「中国共産党内で党主席って復活するんですかね?」
最近よく聞かれる質問である。党主席とは「中国共産党中央委員会主席」の略称で、中国建国の父である毛沢東が1945年6月から、死去する1976年9月まで就いていた。中国共産党の最高職である。
その後は、華国鋒(1976年10月~1981年6月)、胡耀邦(1981年6月~1982年9月)が継承したが、1982年9月に行われた第12回党大会で党規約の改正を通じて「党主席」は廃止、新たに「中国共産党中央委員会総書記」が設置された。同じく、中国共産党の最高職である。
それまで党主席を務めていた胡耀邦が「横すべり」し、建国後初代総書記に就任。その後は、趙紫陽(1987年11月~1989年6月)、江沢民(1989年6月~2002年11月)、胡錦涛(2002年11月~2012年11月)、そして現在の習近平(2012年11月~)と受け継がれてきた。
「党主席廃止40周年」に当たる2022年の党大会で、「党主席」を復活させる――。
これについては、一昨年頃から、関連報道や議論が生じてきている。例えば、2020年10月27日、シンガポールのストレーツ・タイムズが、中国共産党が2022年の党大会で「党主席制」を復活させ、習近平が就任する見通しだと伝えている。日本メディアもその流れに追従し、党主席復活に関係する報道を行ってきている(朝日新聞「習氏、党主席に就任を検討 毛沢東も務めた最高位復活か」2020年10月29日、日本経済新聞「習近平氏、党主席復活に布石 毛沢東を意識」2021年11月17日など)。
今回は、今秋の第20回党大会で「党主席復活か?」という報道や議論に対して、現時点における考察を試みる。「中国民主化研究とは中国共産党研究である」という立場を取る本連載にとって、5年に1度の党大会、特に習近平3期目突入がもくろまれる第20回党大会は核心的な分析と検証の対象である。その日が近づくに伴い、本連載でも「中国共産党」そのものに焦点を当てた分析と検証を行っていく所存であり、今回もその一環である。