国内経済が課題に直面している2国の指導者は、両国の覇権争いを、成長力を競うレースと考えているようだ。ジョー・バイデン米大統領はここ1カ月で2度にわたり、米経済の2022年の成長率が1976年以降で初めて中国を上回る可能性があると発言した。ホワイトハウスはこの発言が民間予測に基づくものだと説明しているが、中国は心穏やかではない。中国政府のアドバイザーや政府と関わりのあるエコノミストらはこう指摘する。中国の習近平国家主席は先週出席した新興国の会合で、22年の成長目標を5.5%程度とする考えを改めて表明した。この予想外の発言は、ホワイトハウスに向けたメッセージでもあったようだ。米国では経済指標の中でもインフレ率や失業率が高い注目を集めているのに対し、中国では常に成長率が最も重視されている。中国はこれまでしばしば2桁成長を達成しており、成長率に関しては米国に勝ち目はなかった。ただ、ここ30年余りで最も低い今年の目標については、習氏が「ゼロコロナ政策」を貫く限り、達成は難しいとエコノミストらはみている。
米中の覇権争い、負けられぬ「成長率」競争
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