本連載では、分散型金融のもたらすイノベーションの可能性とリスクについて、当局者としての視点を織り交ぜつつ、極力平易に解説している。今回は、主に利用者保護の観点から、既存金融で図られている実務上・法令上の手当てと対比するかたちで分散型金融について紹介したい。
本稿におけるDeFiとは、第1回で定義したとおり、パブリックブロックチェーン上でスマートコントラクトを活用して構築・提供される金融アプリケーションを指す。また、DeFiのプロジェクトでは、透明性・公平性が経済的インセンティブの観点からも重要であり、法令等による手当てなしに、技術的な手法で一定の透明性・公平性を実現できているものも存在すると思われる。以下では、必ずしも法令等の手当てが存在しないものが悪いと評する趣旨ではなく、既存金融との差異を通して、一部でもDeFiの現況を伝えられればと考えている。