国土交通省の「建設工事受注動態統計」のデータの書き換えによる二重計上問題が明らかになり、政府が第三者委員会を設けて1カ月以内に検証することになった。GDP(国内総生産)や建設投資の拡大を目指したアベノミクスへの忖度だったのか、まさかのミスなのか。問題の焦点はその動機、原因だ。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

書き換えが始まった時期は
アベノミクスのスタートと重なる

国土交通省Photo:PIXTA

 国土交通省が「建設工事受注動態統計」の数値を書き換え、二重計上していた問題が12月15日、朝日新聞のスクープで発覚した。

 この統計は全国約1万2000社の建設業者の毎月の建設工事の受注額を集計するもので、内閣府が毎月公表する月例経済報告や、間接的にではあるがGDP(国内総生産)の算出にも用いられる。2020年度の金額は79兆5988億円で、政府の政策判断の根拠となる統計の中でも特に重要な「基幹統計」の一つだ。業者には統計法によって、回答する義務が課せられている。

 数値の書き換えは13年度から行われていたという。業者が2カ月分の報告を忘れていた場合、その翌月分を合わせた3カ月分をまとめて国に報告させ、1カ月分として計上。報告がなかった2カ月分は、これに加えて推計値を計上していたため、誤って計5カ月分の数値が計上された。業者から集めた生のデータを書き換え、数値がかさ上げされていたのである。

 書き換えが始まった時期は、安倍晋三元首相の政権がスタートした12年12月に近い。安倍元首相が掲げたアベノミクスは、大胆な金融緩和、機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略による「3本の矢」で構成された。

 同時に自民党が掲げたのが、「国土強靭化」。11年3月の東日本大震災の惨禍も冷めやらぬ中、巨大地震や大規模な水害などに備えるとして、公共投資を増加させた。

 ただ、建設業界の人手不足による入札不調で、自治体が公共事業予算を十分に執行できない事態が発生した。14年には麻生太郎財務大臣(当時)が各省庁に、13年度補正予算の確実な執行を促すと表明したこともあった。

 15年には当時の安倍首相が「GDP600兆円」の目標を口にしたように、金融緩和だけでなく、公共事業の執行を含む財政出動によって経済活動を活性化し、建設投資やGDPの増加を目指す政治的な意向が、政権によってはっきりと示されていたことは間違いない。