他の民間機関への支援も重視

 アップルは、製品やサービスを販売するだけでなく、他の組織や団体を資金面で援助することによる社会貢献も行っている。プロダクトREDを通じたAIDSや新型コロナウィルス撲滅運動への支援や、ConnectEDイニシアチブによる米国の低所得地区の教育機関に対する延べ1億ドル規模のソリューション提供、LGBTQの青少年組織に対する100万ドル相当の機材寄贈などは、その一部だ。

 サイバー犯罪への対応についても、社内の技術開発だけでは対応が不十分な面があるので、今後のロックダウンモードの強化に向けて、外部のセキュリティーの研究団体からフィードバックや協力を得るために、報奨金を出すことを決定した。具体的には、ロックダウンモードの抜け道を発見したり、保護機能の向上につながる貢献を行ったりした研究者などに対して支払われ、最大200万ドルという金額は、報奨金の上限としては業界最高額に当たるという。

 加えて、ペガサスのような標的型サイバー攻撃の調査や摘発、阻止を行う団体を支援するために、NSOグループに対する訴訟で得られた損害賠償金+1000万ドルを財政援助に充てることも発表された。暴力や独裁体制の助長、および政治的弾圧に加担するスパイウェア業者に抵抗する取り組みへの資金提供も、他の企業や篤志家に対して広く呼びかけている。