ポストコロナに向けて留学が解禁される中、空前の超円安と海外でのインフレという“二重苦”で留学を断念する学生が激増している。だが、諦めるのは早計だ。奨学金や留学先の大学を上手に選べば、お得に費用を捻出できる。特集『大学2022 劇変の序列・入試・就職』(全24回)の#19では、留学を熱望する大学受験生や大学生、その親に向けた円安時代に負けない留学のノウハウを伝授する。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
親世代からコスト2倍の海外留学
役割も変わり「必須」の時代へ
海外留学を目指す大学生の夢を奪ったコロナ禍。だが、各国の入国制限緩和によって再び海外留学への道が開かれ始めている。
東洋大学国際部国際課の八町慶子氏は現在の留学状況について、「学生たちが『やっと留学に行ける』と喜んでいる」と話す。また、「受験生である現高3生からの海外大進学の相談が増えている」と語るのは、河合塾海外大進学相談センターの服部智恵子氏だ。2年間抑えつけられていた大学生や大学受験生の留学熱が一気に噴き出しているのだ。
ところが、である。いま、コロナ禍とは別の理由で留学を断念する学生が後を絶たないのだという。いったい何が起こっているのか。
留学熱に冷や水を浴びせるのは、加速する円安と海外のインフレだ。米国留学を例に挙げれば、3年前は年間授業料500万円だった大学が、円安の影響だけで約620万円に値上がりしたことになる。さらに燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)の高騰が重くのしかかり、「予定していた留学を諦めた学生もいる」(八町氏)。
下図のように為替は24年ぶりの円安水準だが、さらに注目したいのは米国物価。なんと30年で2倍以上になっている。この間、日本では物価も給与も横ばいで、気が付けば中間層の家庭にとって海外留学は高過ぎる“お買い物”になったというわけだ。
一方、大学生にとって、留学の必要性は年々高まるばかりだ。海外留学協議会(JAOS)理事・事務局長の星野達彦氏は、「グローバル化が進展し、留学経験を持つ学生に対する企業のニーズが拡大した」と指摘する。
付け加えておくと、留学による就職活動の遅れを気に留める必要はない。「かつては海外大学の卒業時期が就活と合わないことが問題視されてきたが、今は日本経済団体連合会(経団連)の指針により是正されている」(星野氏)からだ。
留学は必要だがお金がない――。そう諦めるのは早計だ。「工夫すれば、安く留学する方法はある」と星野氏。実はあまり知られていない裏技がたくさんあるのだ。
そこで次ページから、円安&海外物価高に負けない、お得に留学費用を捻出するノウハウとともに、低コストで学生を留学させてくれる大学ランキングを作成した。ランキングには、外国語大学や国際系大学ではない意外な大学名も多く登場するので必見だ。また、欧米にこだわらない海外留学の魅力とメリットも紹介する。