大学受験において現役志向が強まる陰で、不本意な大学に入学した学生の“仮面浪人”が増えている。だが、浪人して本当に行きたい大学を目指すにしても、どこまで学力が伸びるのか、不安は尽きないはず。そこで、特集『大学2022 劇変の序列・入試・就職』(全24回)の#20では、大手予備校、河合塾「高卒生コース」に通った受験生の偏差値の伸びを調べた内部データを公開、「1浪すれば合格が見込める大学」のレベルを明らかにする。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)
大学受験で高まる現役志向
その陰で増える「仮面浪人」
現役志向が強まる大学受験。15年前、大学入試センター試験の受験者における浪人比率は20%超だったが、2022年度の大学入学共通テストでは15%を下回った。
浪人回避の動きは、難関大学でも変わらない。東京大学と京都大学、早稲田大学と慶應義塾大学という国立大学と私立大学それぞれの最難関大学でも過去3年、浪人比率が下落の一途だ。
その大きな背景は、少子化と大学の数の増加だ。大学受験生の親世代に当たる1992年の18歳人口は205万人。それが21年には115万人と90万人も減った。片や、受け皿となる4年制大学の数はおよそ500校から800校に急増。妥協すれば現役でどこかしらの大学に潜り込める時代だ。
ところが、この大学全入時代の陰で増えているのが、他の大学に在籍しながら別の大学の受験を目指す「仮面浪人」だ。大手予備校、河合塾の高卒生コースにおける仮面浪人の割合は近年、2割から3割へと上昇したという。本特集の#6(『旧帝大、神戸、筑波、早稲田…読書数冊や面接だけで「お得に編入」できる名門大学リスト』)で見た、他大学編入を目指す動きと同じ構造なのだ。
総じて大学受験の易化が指摘される中、現役で本当に行きたい第1志望の大学に行けるなら、それに越したことはない。だが、妥協して入った大学で不本意な学生生活を送るぐらいなら、卒業後の長い人生を考え、初めから浪人して志望校を目指すのもありのはず。
もちろん、浪人したところで受験生自身が、もしくはわが子の成績がどれほど伸びるのか、という不安は尽きないだろう。
そこで次ページでは、その不安解消のため、特集『学び直し“裏ワザ”大全』の掲載記事を一部更新。1浪で偏差値が何ポイント上昇するのか、個々の教科別や文理別、そして国公立大学型、私立大学型別に、河合塾の内部データを掲載しよう。
その上で、狙える大学がどれほど“激変”するのか明らかにする。