商社の英語術#1
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「英語ができない商社マンは人間以下」「一般職社員も含めて全社員が受け答えできることは前提」であるという商社。特集『商社の英語術』(全19回)の#1では、そんな商社マン・ウーマンたちの英語学習法を大調査し、難易度・コスト別に分類した。商社マンが話す英語は、受験英語ではなくて、ビジネスで生きる実践英語である。あなたも「商社=勝者」の英語をマスターして、グローバル時代に勝てるビジネスマンになろう。

「週刊ダイヤモンド」2016年12月10日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの

「英語がデキないと人間以下」
語学エリート商社マンの実態

 今も昔も、「英語がデキない商社マンは人間以下である」(三井物産のベテラン社員)という実態は変わっていない。グローバルで事業を展開する日本の総合商社には、海外からの電話やメールが多く、「英語の巧拙はあるけれども、一般職社員も含めて全社員が受け答えできることが前提」(三菱商事人事部)となっているからだ。

 だが、この20年で、商社マンに求められる英語力の「質」は大きく変容した。六大商社には、ある共通した反省がある。「2000年前後からTOEICのスコアが高い人材や帰国子女を採用で優遇した結果、受験英語や発音のきれいな英語を使える社員は増えたのに、ビジネスで通用しない社員が増えた」(ある商社人事部)のだ。三井物産でグローバル人材強化の基盤をつくった定森幸生氏(元グローバル人事推進室マネジャー)も、「TOEICのスコアは、いわば身長と体重。ガタイがいいけれど、実は内臓にがんを抱えているのでは戦力にならない」と言い切る。

グローバルリーダーに求められる英語力

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 かつて、不祥事を機に登板した槍田松瑩・三井物産元社長は、「社員の語学研修に掛ける投資を8億円から10倍の80億円にしろ」と指示を出した。人事で社内を浄化しようとしていたときで、この発言の真意は、表層的な語学スキルではなく、「人の三井」にふさわしい、取引先や顧客の心を動かせる語学力やビジネス思考を身に付けよ、ということだったのだろう。

 実際に、六大商社のうち4社は、採用時に語学スキルを考慮していない。かといって、商社が英語力を軽視しているわけではない。むしろその逆だ。英語はビジネスを円滑に進めるためのツールであり、商社マンが備えるべき前提条件。人物本位で採用された商社マンは、入社後、さらに高いレベルの「ビジネスで生きる英語」を習得しなければならない。

 商社マンが操る生きた英語は、必ずや企業がグローバル競争で戦う際の武器になるはず。まさしく、商社の英語は「勝者の英語」なのである。