例えば家庭内のゴタゴタとか、会社とまったく関係のない心配事があるだけでも、仕事のパフォーマンスはガタ落ちになるのが人間だったりします。

 だからこそ、上司は部下の「一見、愚痴に聞こえる言葉」にも耳を傾けて、部下のプライベート……例えば、家族構成や通勤経路のようなことまで知っておくに越したことはないのです。

 知っていれば、「彼が今、元気がないのは息子さんの受験の件で悩んでいるのかな」とか、「彼女の出社が遅れているのは、○○線の事故の影響かな」などということもわかるようになって、適切な声がけが可能になります。それが、信頼関係につながるのです。

 それに、いっさい上司から話を聞いてもらえなかった部下が、昇進してリーダーになったら、いっさい部下の話を聞かないリーダーになると考えたら、少し怖いと思いませんか?

部下に任せられない
過干渉な上司の勘違い

 上司が過干渉だと、部下は「本音なんて伝えなくても、最後はなんでも上司がやってくれる」と思って、業務報告だけをして、課題は上司に丸投げし、自分では何も考えなくなります。

 この過干渉の上司の方に話を聞くと、だいたい、こんなことをおっしゃいます。

「心配で、部下に仕事を任せられない」
「部下に任せていたら目標が達成できない」
「自分でやった方が早い」

 こういうことをおっしゃる上司は、部下との関係を「指示・命令」と「管理」という点からしかとらえられない傾向があります。