「あの案件、どこまで進んでる? うん、よし問題ないな」
そんな言葉少ないやり取りで、部下とコミュニケーションを取った気になっているわけです。
「あっちの件は? 何、遅れてる? 貸してみろ、あとは俺がやっとくから」
こんな調子で部下の仕事に干渉して、自分でトラブルシュートしてしまう方もいます。これでは、部下が育ちません。仕事を奪わないまでも、「あーしろ、こーしろ」と指示・命令ばかりでも同じこと。部下が自主性を持つわけがありません。
本部長になっても部下に任せず
現場に出向いてしまう
「いや、自分は部下から話を聞いて、部下が育つように指導している」
中には、そんなふうにおっしゃる方もいます。
でも、その中身を聞いてみると、部下に「どうして言った通りにできないんだ」「この前も同じミスをしたじゃないか」と、まるで問い詰めるような言い方をしている。そして、アドバイスという名の指示をしてしまっている……。
部下の成長欲求に火がつかないのも当然と言わざるを得ません。
ある広告会社のリーダーの実例です。
その方、部長になっても、事業部長になっても、本部長になっても、大きな案件や重要な案件は部下に任せることができず、ずっと現場に出向いていました。
私が「部下に任せたのなら、上司が現場に行く必要はないでしょう」と言ってもなかなか思い切れない。
「私が行かないと、収まりがつかないんですよ」
「それって、本当ですか?」