「本当だと思います」
「でも、部下に任せたんですよね」
「任せてはいるんですが、任せるとちゃんとならないんですよ」
「それじゃ、ずっと、ちゃんとならないままですよね」
「それはそうですが……」
「一度、『現場に行かない』というのをやってみませんか?」
「それだと収まりが……」
「現場に行かなくても収まりがつく方法を考えませんか」
「現場に行かなくても収まる方法ですか……そうですね、任せたんですもんね」

 そんな会話をして、最後は、「自分は現場に行かないけれど、任せっきりでは怖いので、進捗状況はこまめに聞く」という形で落ち着きました。

 部下に育ってはもらいたいけれど、任せきりは怖いのであれば、この方のような方法もひとつの手だと思います。

 過干渉で一番よくないのは、まるでヘリコプターペアレント(子どもの学校の上を常にヘリコプターで飛んでいて、子どもに何かあるとすぐに降りてくるモンスターペアレント)のように、常に干渉し続けてしまうことです。

 子どもの夏休みの宿題にたとえれば、毎日毎日、「宿題はやったか」と言い続けて、子どもの自主的なやる気をそいでおいて、最終日に手伝ってしまうという最悪のパターン。放任はするけど押さえるところはちゃんと押さえるという意味では、「宿題をやりなさい」とはひと言も言わないけれど、子どもから見える場所で家事をする……と、そんなイメージがよいのかもしれません。