ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が27日の記者会見で行った発言は市場を喜ばせたが、これはあまり良いことではなかったのではないかとの疑問を抱かせる。物価は高騰しており、まるで金融引き締めが長続きしないかのように、相場は急騰した。これはインフレ抑制のメッセージとしては厄介だ。連邦公開市場委員会(FOMC)が今回の会合後に公表した4段落から成る声明は、インフレに対するタカ派的な見解を示し、「委員会はインフレリスクを注意深く観察している」と記した。しかしパウエル氏は1時間に及ぶ会見の中で何度か、タカ派的姿勢を大幅に後退させた。特に、現在の金利が、もはや緩和的ではないことを意味する「中立」の水準に近いと述べたのは驚きだった。しかし、27日に決定された75ベーシスポイント(bp)の利上げ後も、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は2.25~2.5%にとどまっている。6月のインフレ率は9.1%だった。これは、実質金利が依然として明らかにマイナスであることを意味している。