役職定年の悲哀#16Photo:Junko Kimura/gettyimages

「高給」のイメージが強いマスコミ業界だが、役職定年やシニア社員の働き方の制度の中身は千差万別だ。特集『中高年の給料激減!主要企業のデータ初公開!大企業の5割導入 役職定年の悲哀』(全17回)の#15では、メディア業界の役職定年事情に迫る。同じ日刊の全国紙でも朝日新聞、日本経済新聞、毎日新聞の待遇は大きく異なる。中には、50代で3分の2に減少する大手新聞もあるのだ。一方で、これらを上回る厚遇の地方紙も存在する。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

朝日と日経と毎日…
シニアに一番優しい制度の企業は?

 夜討ち朝駆けや長時間労働は日常的、だがその代わり給料は高く残業代も青天井――。「新聞社社員」や「記者」という仕事にはこんなイメージがあるかもしれない。それでは、新聞・通信各社の役職定年制度はどうなっているのだろうか。

 役職定年制度とは50代など一定の年齢や職位になると、役を解かれ部下がいなくなる制度。多くの企業で、給料が激減する。日頃、何かと“特権階級”のような言われ方をする大手新聞社社員だが、実は一般企業と同じように、きちんと役職定年制度の“憂き目”に遭っている。

 現在有価証券報告書を公開している新聞社は朝日新聞社と日本経済新聞社だけだが、ここで見る限りではどちらも確かに高給だ。朝日がグループ社員数6994人に対して、平均年間給与が1113万円、平均年齢が46歳(単体ベース)。日経はグループ9702人に対して同1220万円、44歳となっている。商社・製薬と同等かそれ以上の高給職種であることは間違いない。

 だが、これはあくまでも一般論である。

 紙の新聞の購読部数の減少で共に厳しい業界環境に置かれている新聞各社だが、その中でも経営環境はかなり格差がある。紙からウェブなどの他の事業に利益の軸足を移す、不動産業などで本業の不振を補う、地域で圧倒的なシェアを確保する、などができているところと、そうでないところでは待遇にも大きく差が出ているのだ。

 そしてこれは、役職定年などシニア活用の状況についても同じだ。今回は朝日、毎日、日経の全国紙、そして北海道新聞と中日新聞という地方ブロック紙、さらに全国の地方紙にニュースを配信する共同通信と時事通信の通信社2社の状況が判明した。

 何歳でどの役職なら、何割の給料が減るのか?再雇用ではさらにどれくらい減るのか?部署や業務の内容は変わるのか?など、全て具体的な数字と生の声を基に、お伝えしていく。全国紙&通信社の中で大きな格差があるだけでなく、地方紙にもかかわらずシニアの待遇が毎日や産経新聞などの現役スタッフと変わらない厚遇の会社もあるという、驚きの結果が判明した。

朝日・日経・毎日…新聞大手シニア社員の年収は役職定年で天と地の差、意外な好待遇地方紙も