コンサル費用はダミーとして
贈賄の構図を描く特捜部

 収賄罪は公務員が職務に関し、賄賂を(1)収受、(2)要求、(3)約束、した場合に適用される。今回の受託収賄は、贈賄側から自身に有利になるよう「請託」を受けていた場合に成立する。一般の収賄罪は法定刑が懲役5年以下、受託収賄罪は同7年以下と、後者のほうが罪は重く設定されている。

 特捜部は賄賂性について「コンサルの実態があったのか、そもそも月額100万円が相当だったかどうか」を詰めるとみられる。一方で、広辞苑によるとコンサルタントとは「一定の事柄について相談・助言・指導を行う専門家」とある。言葉の通り受け取ると、常時ではなく、有事の際にアドバイスを求めるという位置付けだ。

 恥ずかしながら筆者は駆け出しだった地方記者時代、談合事件で先輩の使い走りにされたせいか「コンサル」とは政治家とゼネコンをつなぐ口利き屋で、実態は「私設秘書」の名刺をばらまいて巨額の手数料をせしめるブローカーと刷り込まれてしまった。

 もちろん、今では誤った認識であったと恥じ入るばかりだが、現実にそうした御仁は目にしてきた。特捜部は脱税など搦(から)め手で摘発したことはあっても、直接の贈収賄で立件したケースはない。

 今回のケースを立件したら、裁判官、検察官は退官後、弁護士事務所を構え、訴訟どころか「相談・助言・指導」など何の仕事をしなくても自動的に報酬が入る「顧問弁護士」という制度を、どう取り繕うのか。特定の法人や個人は顧問弁護士部に経費を計上しているが「これとどう違うのか」と失笑されるのではないか。

 しかしながら、特捜部は報道機関にリークしながら強制捜査した。後には引けない。

 5月22日、青木氏は会長職の辞任を発表していた。全国紙デスクは「(贈賄罪での立件を)覚悟したのでしょう。青木氏は贈賄容疑のまま在宅起訴、容疑を否認している高橋元理事は小菅(逮捕で東京拘置所)に落ちるはずです」と話していた。