政策手段の見直し(例えば日銀の上場投資信託〈ETF〉買いはいい政策だとは思えない)は必要であるとしても、金融緩和の維持はまだしばらくの間必要だろう。岸田氏が功を焦って自分の政策を打ち出したがるリスク、あるいは緊縮財政や金融の引き締めを指向する官僚に担がれて利用されるリスクには注意が必要だ。

 一方、資源価格の上昇が一服していることや、FRBの金融引き締めが続いて円安がキープされそうな状況は、日本の株価に対してはプラスのファクターだ。

個人投資家はどうしたらいいか?
株価下落を「楽しみにする」心構えを

 前述の通り、株価の循環のパターンを考えると、「株価下落のリスクは遠のいた」とはまだ言えそうにない。

 だが、一方では、FRBが金融引き締めを継続しそうだという株価下落リスクの主因となる状況は、多くの市場参加者の知るところでもある。従って、現在の株価にもある程度織り込まれていると考える必要もある。

 内外の株式に投資している個人投資家は、「株価の下落に耐える準備をしながら」(自分にとって過大なリスクは早急に排除すべきだ、という程度の意味である)、「逆・金融相場」と「逆・業績相場」をやり過ごして、次の株価上昇を待つのが概ね上策だろう。

「持ち株をいったん売って、安く買い戻す」オペレーションは、想像する以上に難しく、機関投資家でも平均的にはうまくいかない。

 精神的にタフでないとなかなかできないが、相場の循環パターンに「何周も付き合って長期投資する」のが投資の王道だ。利益が出たところで持ち株を売却すると、その時点で課税されることの不利も長期的にはばかにならない。

 近年投資を始めて、つみたてNISAやiDeCoなどを開始した投資家は、今後来るかもしれない株価の下落局面を「むしろ楽しみにする」くらいの心境で積立投資を継続するのがいいだろう。

 また、長期投資中心のオーソドックスな投資家も、意外に大きな株価の下げ局面が現れたときに追加投資する金策を想像しておくといい。「だいたい投資済みだが、まだ少し投資する余力がある」というくらいの状況は、多くの投資家にとって「適正なリスク量」に近いと想像する。

 もちろん個人差はあるが、将来の稼ぎと支出の柔軟性を考えると、多くの人がイメージしている以上に自分のリスク負担能力は大きい。「株価下落の可能性」を説きながら言うのも気が引けるが、どっしり構えて投資を続けてほしい。