有事の際に資産の逃避先として買われることが多かった円がヘッジファンドや資産運用担当者の投機対象となり、価格変動に拍車がかかっている。10日に7月の米消費者物価指数が発表され、インフレの減速が確認されると、円は一時、対ドルで2%余り上昇。先週の上昇率は1.15%に上った。7月最後の2週間に円は既に大幅な反発を演じていた。ウォール街のトレーディング部門の営業担当者はこれについて、円がある水準まで下落すると利益が出る取引をヘッジファンドが手仕舞っているためと説明した。円はそれ以前の取引で、ドルの高騰、世界経済の減速、世界的なインフレを背景に20余年ぶりの安値を付けていた。ゴールドマン・サックスで外国為替や金利などの戦略調査の共同責任者を務めるカマクシャ・トリベディ氏は「円はこのところ値動きが荒い」と述べた。