「あれ? いま何しようとしてたんだっけ?」「ほら、あの人、名前なんていうんだっけ?」「昨日の晩ごはん、何食べんたんだっけ?」……若い頃は気にならなかったのに、いつの頃からか、もの忘れが激しくなってきた。「ちょっと忘れた」というレベルではなく、40代以降ともなれば「しょっちゅう忘れてしまう」「名前が出てこない」のが、もう当たり前。それもこれも「年をとったせいだ」と思うかもしれない。けれど、ちょっと待った! それは、まったくの勘違いかもしれない……。
そこで参考にしたいのが、認知症患者と向き合ってきた医師・松原英多氏の著書『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』(ダイヤモンド社)だ。
本書は、若い人はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも脳が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、脳の衰えを感じている人が陥りがちな勘違いと長生きしても脳が老けない方法を解き明かす。
70歳をすぎると一気に増える認知症
一部の例外を除けば、認知症は老化にともなって起こります。20世紀になって医学が発達して、寿命が十分に延びるまでは、認知症に似た症例の報告は、ほとんどありませんでした。
なぜなら、認知症になる前に寿命を迎えて、亡くなっていたからです。認知症は加齢とともに増えてきて、70歳をすぎると一気に増えます。
認知症は自然現象? それとも病気?
年をとると白髪が増えたり、顔にシワが増えたり、老眼で近くが見えづらくなったりしますが、これらは病気ではありません。いずれも、老化にともなう自然現象です。
同じように、年をとることによって増えてくる認知症も、老化にともなう自然現象で、病気ととらえるのは間違いだという考え方もあります。一方で、認知症は薬で進行が抑えられるのだから、やはり病気ととらえていいのではないかと考える専門家もいます。
いずれにしても、日本は世界有数の長寿国であり、認知症の患者さんが増えています。
65歳以上の5人に1人が
認知症と診断される時代に
認知症の有病率は高まり、2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症と診断される時代がやってくると予測されています。
90代の私はもちろん、高齢者なら誰がいつ認知症になってもおかしくはないのです。
私は父のいいつけを守り、いまでも現役医師として、もっぱら高齢の患者さんの認知症予防に専念する日々を送っています。
「がんと認知症、どちらを選ぶ?」
長年かかりつけ医(健康に関することをなんでも相談でき、必要なときには専門の医療機関を紹介する身近にいる医師)をしている患者さんやその家族から、「がんと認知症、先生ならどちらを選びますか?」と聞かれることもあります。
そんなとき、私は「認知症になるくらいなら、喜んでがんを選びますよ」と答えるようにしています。それは、私の本心なのです。
※本稿は、『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』より一部を抜粋・編集したものです。本書には、脳が若返るメソッドがたくさん掲載されています。ぜひチェックしてみてください!