体脂肪があるメリットについて

 体脂肪と聞くと、われわれは何となく「筋トレして落とさないと…」「健康診断までに痩(や)せたい」などと…安易に身体に不必要なものとしてイメージするかもしれません。ですが、「極端に多すぎるのと同様に極端に少なすぎるのも、健康被害のリスクが上がる可能性がある」と言われています。つまりは、ある程度の「体脂肪(脂肪細胞)」は身体にとって必要不可欠なものでもあるということです。

 なぜなら脂肪細胞には、上述のように体温を保つ役割もあれば、外部からの衝撃から内臓を守る役目もあるワケです。また、身体の機能を正常に保つためのエネルギー源としてのストックでもあり、必要なホルモンなどをつくり出しているとも言われています。さらに女性の身体にとっては、「体脂肪(白色脂肪細胞)は正常月経の維持、妊娠・出産などに不可欠だ」とされているのです。

 京都大学大学院農学研究科の河田照雄(かわだ てるお)教授は著書で、「白色脂肪細胞は、女性ホルモンであるエストロゲンの前駆体(働きが抑えられている状態)をエストロゲンに変換しています。脂肪を取り込んでいない白色脂肪細胞はこの変換機能を果たさないため、女性が痩せ過ぎると女性ホルモンの分泌が減り、生理不順などさまざまな問題を引き起こします。特に、思春期の女性の痩せ過ぎは問題です(※『脂肪細胞の正体』参照)」と、体脂肪(白色脂肪細胞)の重要性について説明しています。

BMI、日本人男性 / 女性は
どれくらいで肥満と判断される?

 ここで再び、BMIにフォーカスしましょう。その計算式は世界共通ですが、肥満の判定基準は国によって異なります。

 一般的な人にとっては、「体脂肪」と「除脂肪体重」の比率はより信頼性の高い健康指標と言えます。全てにあてはまるわけではありませんが、BMIが「18.5~25未満」になる体重であれば、日本肥満学会の判定基準としては標準体重になります。この判定は、最も病気になりにくい状態であるとされています。

 BMI18.5未満が「低体重」
 BMI18.5以上25未満が「普通体重」
 BMI25以上が「肥満」で、肥満はその度合いによってさらに「肥満1」~「肥満4」に分類されます。

 厚生労働省が発信する「健康情報サイト」のよれば、日本人の成人で「BMIが25を超える」と肥満と定義づけられており、「BMI35以上で高度肥満」と判定されます。

日本人の肥満判定と
国際基準(WHO)が違うのはなぜ?

 WHOの国際基準になると、BMI30以上からが肥満であり、25以上30未満は過体重(overweight)とされています。日本人の肥満判定が、WHO基準に比べて1段階低いBMIから肥満と定義している主な理由は、日本では欧米諸国ほどの顕著な肥満者は少ない傾向にあるからということ。そして日本人の場合は、BMI25以上でも肥満に関連する疾患(肥満がもたらす健康被害)が多いから…とされています。

 また、男性と女性では体脂肪のつき方が違うため、判定基準も異なります。それでは、一般的な体脂肪率による肥満判定の目安も見ていきましょう。