本人が現実を見つめない限り、解決しない

 Gさんは、その高級車や今の暮らしをするために、これまでかなり頑張ってきたという自負があります。その思いから、これまでに作り上げてきた今ある環境を失いたくない、持っていたっていいのではないか?などと思っているようにも見えました。だから、自分自身のぜいたくに対する満足感は、手放したくないと思ってしまうのでしょう。

 ですが、結局はお金を借りてそれを実現してきたということ。高級車を持つといっても、それは使えるローンが通っただけ。実際にはローンを返済するためにかなり無理をしているわけで、厳しい言い方をすれば「長期的に考えず、欲望を優先させてきた」という状態です。そこに目をつむっているGさんは、多少の節約への協力はできても、自動車を手放す、趣味にかけるお金を減らすということには抵抗があり、先へ進めずじまいです。

 Gさんの変化は望めないと思った奥さんは、自分のできるところはやり、自分名義の借金をもう増やさない、できるだけ完済するようにしていく方向で頑張っています。しかしこのご夫婦は、Gさん自身がお金との付き合い方や価値観を自問自答などしていかないと、根本的に解決はできないでしょう。厳しさに直面した時にようやく「仕方がない、変えるか」と思うのか、そうなる前に「今後のために改善しよう」と判断できるのか、その差が最終的には大きな違いになりそうです。

 他者の意見を聞き入れようとする姿勢が十分ではない方が変わるのは、非常に難しいものです。自分のお金の使い方が曖昧(あいまい)で軸がないと、なかなか変わることはできません。できるだけ早く、自ら真摯(しんし)に心の底から、「変わろう」と思われることを願っています。