家計相談をしていると、「金銭感覚が一般から少しズレているのでは?」という方に出会うことがあります。もともと裕福な環境で生活されてきた方や、収入の多さに引っ張られて生活に必要な支出かどうかの見極めができなくなっている人に多いようです。そして、その少しズレてしまった金銭感覚は、人生の節目節目に影響します。そろそろ定年というタイミングで「このままだとまずいかも?」と気付いた場合、老後の生活に大きく影響してきます。(家計再生コンサルタント 横山光昭)
両親の遺産4000万円、夫の退職金が2000万円
「何とか老後、暮らせるようにしてほしい」と家計相談に来られたのは、若い頃の実家での裕福な暮らし方から結婚後も抜けきれず、お金があればつい散財してきたというパート主婦のMさん(58歳)。今まであまり貯金はできず、両親の遺産を相続(約4000万円)しても、5年ほどで使い切ってしまったという経験の持ち主です。自分でもお金を使いすぎる方だという自覚はあるものの、夫が家庭に協力的ではなかったため、家計はMさんが管理しています。
夫は60歳で、今年、退職金を2000万円もらいました。退職金を受け取っても70歳までは正職員として働ける会社なので、健康でありさえすれば、その後の生活費に不安はありません。それを見込んでか、住宅ローンの返済(月10万円)も70歳まで。残債は現状で約1000万円あります。また、これから三男の大学進学費用も必要ですし、リフォーム代も準備しておかなくてはならないと考えています。