漫画「島耕作」シリーズで知られる漫画家の弘兼憲史氏は、もうすぐ後期高齢者の仲間入りをするのに、1日に10時間以上を漫画制作に充てるという。特集『ひとり終活大全』(全24回)の#4は、「最期まで漫画を描き続けたい」という弘兼氏が、現在の生活や死生観について語る。(聞き手/ダイヤモンド編集部)
75歳でも漫画だけでいっぱいいっぱいの人生
突然やめると周りに迷惑を掛けるから
今年で75歳になりますが、漫画だけでいっぱいいっぱいの人生を送っています。朝9時くらいに起きて、ファミレスや喫茶店でアイデアを練り、午後1時くらいから仕事場に入って朝の4時くらいまで漫画を描くという日々。現在連載しているのは、中高年のラブストーリーを描いた「黄昏流星群」と、「島耕作」シリーズで月に76ページ。
運動はゴルフくらいしかしていません。週に1回はやりたいのですが、月に2、3回がせいぜい。とにかく、時間がない。連載以外に、エッセーやイラスト、講演やらいろいろある。強引にやめることはできますが、まだ必要とされているし、突然やめると周りに迷惑を掛けますから。
私の年ではもう仕事を辞めている人も多いでしょう。やることがなくて時間が余り過ぎるという方には、ボランティアをお勧めします。
生活に余裕がなければ、交通費や弁当代くらいは出る「有償ボランティア」もあります。
ボランティアがいいのは、他人に喜んでもらって生きがいを感じるだけではありません。自然と外に出て体を動かすので、運動不足解消や認知症防止にもなります。
ボランティアをするには、それまでの肩書は捨て、年齢も関係なく皆平等という気持ちが必要です。
それに抵抗がある高齢者も多いようです。名門ゴルフクラブなどでは高齢の会員が、プレーをせずに、朝からお茶を飲んだりして時間を過ごしています。金銭的に余裕がある高齢者なら、それはそれでいいと思います。人それぞれですから。
次ページでは、「ペンを握ったまま死ねたら本望」という弘兼氏に、現在の生活や死に際にやってみたいこと、死生観を語ってもらった。