栄養状態の向上で
若くして亡くなる人が減った

 ところで、かつての日本人は、なぜ寿命が短かったのでしょうか?

 そして、日本はいつの間にか、なぜ長寿国になったのでしょうか?

 また、平均寿命というものは、いろいろな要因に左右されます。「医療」や「衛生」といった要因は、もちろん無視できませんし、「戦争」や「大災害」といった要因にも平均寿命は大きく影響されます。

 ちなみに、ずっと右肩上がりに伸び続けてきた日本人の平均寿命が、2011年頃には小さな下降に転じています。

 もちろん、東日本大震災の影響です。

 日本人の平均寿命がなぜ伸びたのか──この理由をひと言で説明するのは簡単なことではありません。ただ、日本人の栄養状態がよくなったからこそ、長生きできるようになったということは、事実として言えるはずです。

 実際、栄養が不足している状態では、幼児や子どもの命を守れませんから、どうしても平均寿命は短くなります。つまり、この100年足らずの間に、日本人の栄養状態がよくなったために、若くして亡くなる人が減るなど、平均寿命を縮める要因が取り除かれたということです。

 戦後、日本人の平均寿命の伸びが著しいのは、アメリカの影響によって、食生活が大きく変化したからだと考えられます。とくに、肉や牛乳といった、戦前にはあまり消費されなかった食品を、ふだんの食生活に取り入れるようになったからでしょう。

 次に説明するように、それが「日本人の運命」を大きく変えたのです。