空に向かって書類を放り投げる男性サラリーマン写真はイメージです Photo:PIXTA

GRIT(困難に直面してもやり抜く力)やレジリエンス(逆境から回復する力)といった言葉がビジネスシーンにおいて注目されている。翻って、困難や逆境に直面して心が折れてしまう人や、自分は成功しなければならないとプレッシャーを感じている人が多いために、これらの言葉がもてはやされているとも言える。『絶対悲観主義』(講談社+α文庫)の著者、楠木建氏によれば「絶対悲観」という意識を持つことで「自分は成功しなければいけない」という圧力から解放されるという。(清談社 小森重秀)

失敗を自然に受け止める
絶対悲観主義

 仕事において、ほとんどの人が成果を上げたいと思うはずだ。しかし、仕事には多くの人々の利害が絡み合っているため、すべてが自分の思い通りになると期待することは非常に不自然ではないか、と楠木氏は指摘する。

「『絶対に成功しなければいけない』――そんな不自然な思い込みを捨てて、『何事においても、自分の思い通りになることなんて一つもない』を前提として仕事に臨むのが、私の提案する『絶対悲観主義』です。この心構え一つで、成果への期待から生じる不安やストレスを解消できます」

 とはいえ、自分が経験した仕事や得意な領域であれば、成果を上げられると期待する人も少なくないだろう。しかし、絶対悲観主義者である楠木氏はそうした期待も全く抱かないそうだ。