人の幸せあってこそ、ペットの幸せがある

 たくさんの事例から見えてきた、要見守りの人物像としては、60~80代男性一人暮らし、猫の多頭飼育、汚部屋・ゴミ屋敷、慢性疾患あり…このような場合は、倒れてから近所の人などが「猫が取り残されている」と相談してくることが多い。

保護猫事業で見た「社会の闇」ゴキブリ屋敷の飼い主と犬猫、犯罪者のペット…高齢者によってゴミ捨て場に遺棄された、生まれたばかりの子猫たち。子猫たちの入ったゴミ袋は二重になっており、外側の袋は中身が見えないよう、黒のレジ袋だった

 利用しているデイサービスの職員の方が連絡してくるケースも少なくない。同様に多いのが、敷地内で野良猫にエサやりしていたら、ある日子猫を連れてきたという相談。厳しい言い方かもしれないが、知識と想像力が足りないケースだ。これは60歳前後の女性に多い。

 犬猫などのペットは人間に従属するものである。

 人間の幸せ抜きに猫だけが幸せになることは難しい。私はそもそも人道支援としての災害地動物レスキューが保護事業の入り口だったが、その考え方は正しかったと感じる。多くの課題がまだ残されている猫の保護事業。行政や福祉事業者などとの連携が急務だ。