それは子どもに限らず、大人も同じだ。たとえば、これから毎朝早起きしてジョギングしようとか勉強しようとか決めても、三日坊主に終わることが多いものである。いざ朝になって目覚まし時計で目が覚めても、なかなか起きる気になれず、「まあ、今日はいいや」と再び寝てしまう。そこで起きるには、強靱な意志の力が必要だ。

習慣になっていれば、意志の力がなくても続けられる

榎本博明『勉強できる子は○○がすごい』(日経プレミア)榎本博明『勉強できる子は○○がすごい』(日経プレミアシリーズ)

 でも、早起きが習慣になっている人は、とくに意志の力を発揮しなくても、ごく自然に早起きができる。そして、ジョギングあるいは机に向かうのが習慣になっていれば、当たり前のように行動に移せる。それを継続するのに、とくに意志の力を必要としない。

 習慣形成の意義は、まさにそこにある。習慣形成によって、意志の力なしに、ほぼ自動的に望ましい行動が取れるようになるのである。

 本を読まない大学生がついに5割になったことを示すデータがあるが、本を読む習慣のない学生は、本を読むことで読解力や思考力、想像力、共感性などが身につくと知り、将来仕事で落ちこぼれないためには本を読まなくてはと思い、読み始めても、すぐに挫折してしまうことが多い。強靱な意志の持ち主でもない限り、なかなか続かない。

 だが、子どもの頃から読書習慣が身についている学生は、とくに意志の力を借りなくても、何の抵抗もなく本を読むことができる。これこそが習慣形成の効果である。宿題をしてから遊んだり好きなテレビ番組を見たりするのが習慣となっている子は、当たり前のように宿題に取り組む。毎日予習・復習をするのが習慣になっている子は、何の抵抗もなく予習・復習をする。そこで心がけるべきは、ごく短時間でもかまわないので、机に向かう習慣をつけさせることである。欲張ると挫折しやすくなる。ごく短時間でもいいから習慣化することが大切である。