公務員 970人が明かす危機#8Photo:PIXTA

かつて国家公務員は、東京大学出身者などエリートの人気就職先の筆頭だった。ところが今では、激務や低年収といったレッテルを貼られ、東大生が激減している。それとは対照的に、ある「意外な地方大学」出身の官僚が激増しており、早慶に匹敵する勢力となりつつある。特集『公務員970人が明かす“危機”の真相』の#8では、卒業大学別の国家公務員春試験合格者数のデータを一挙公開し、東大生が受けなくなった同試験の内情を明かすとともに、急伸中の二つの大学を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

東大生が敬遠し、中堅大学にチャンス到来
合格実績で大躍進した二つの大学とは

 国家公務員は、東京大学や京都大学といった最難関大学出身者の定番の就職先の一つだ。実際、国家公務員試験合格者の出身校を見ると、直近の2024年度春試験でも東大出身者が最多で、2位が京大となっている。

 ところが近年、圧倒的だった東大の地位が揺らいでいる。詳細なデータは次ページで紹介するが、国家公務員を就職先に選ぶ東大出身者が激減しているのだ。

 東大法学部卒のある中堅官僚は、「毎年の入省者を見ていると、ここ10年ほどで東大卒が明らかに減っていて、これまではいなかったような大学の出身者が目立つ。自分が学生だった頃とは異なり、母校では国家公務員が人気の就職先ではなくなった」と唇をかむ。

 実はこの事態は、地方大や中堅私立大にとっては、“下克上”のチャンスでもある。合格者数が激減する難関校とは対照的に、国家公務員試験合格実績を急激に伸ばしている「意外な大学」があるのだ。そのうちの一校は、早慶に匹敵する実績をたたき出している。

 次ページでは、卒業大学別の国家公務員春試験合格者数のデータを一挙公開し、急伸中の大学を紹介するとともに、東大生が受けなくなった同試験の内情を明かす。