コロナ禍だけでなく、円安や資材高の影響も相まって、多くの業界や企業のビジネスは混乱状態にある。その状況下でも、苦境を打破できた企業とそうでない企業との間で勝敗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はトヨタ自動車、ホンダなどの「自動車」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)
スズキとSUBARUが
「トヨタ超え」の3割増収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の自動車業界5社。対象期間は22年2~6月の四半期(5社いずれも22年4~6月期)としている。
各社の増収率は、以下の通りだった。
・トヨタ自動車
増収率:7.0%(四半期の営業収益8兆4911億円)
・ホンダ
増収率:6.9%(四半期の売上収益3兆8296億円)
・日産自動車
増収率:6.4%(四半期の売上高2兆1373億円)
・スズキ
増収率:25.8%(四半期の売上高1兆634億円)
・SUBARU
増収率:31.3%(四半期の売上収益8341億円)
自動車業界の5社はいずれも増収となった。新型コロナウイルス感染拡大・半導体不足・資材高の「三重苦」が業界全体を襲う中、5社がそろって増収を果たしたのは1年ぶりである。
中でも、これまで3四半期連続で減収となっていたスズキとSUBARUが、一転して約3割の大幅増収を達成。これまで増収率で後塵(こうじん)を拝することが多かったトヨタ自動車を上回った。
これまで苦しんできたスズキやSUBARUが増収に転じることができた要因は何なのか。次ページ以降で、各社の増収率の推移とともに解説する。