このエネルギー戦争の勝者は誰か? おそらく勝者などいない。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟主要産油国で構成する「OPECプラス」は5日、日量200万バレルの協調減産に合意した。事前に漏れ聞こえていた減産幅を上回る水準だ。OPECプラス参加国の産油量はこのところ公式目標値を下回っていた(8月は公式目標を日量340万バレル下回った)ことから、市場での実質的な減少幅はそれよりも小さくなるだろう。OPECプラスが減産を発表するとの観測から、原油価格は3日以降上昇していた。5日のブレント原油価格は1.6%上昇し、1バレル=93.32ドルとなった。今回の決定が注目に値するのは、原油価格が過去と比較してもなお高い水準にあるということだけでなく、原油市場が極めて引き締まった状態であり続けているからである。国際エネルギー機関(IEA)の9月のリポートによると、経済協力開発機構(OECD)加盟国全体の商業用原油在庫は、5年平均を9.2%下回った。ゴールドマン・サックスの調査リポートでは、OPECプラスは需要減退を受けて減産を実施することは多かったが、これほど市場が逼迫(ひっぱく)している中で減産を実施したことはこれまでなかった。