第一に、北朝鮮は核兵器と核搭載のミサイル開発をいっそう進めるだろう。日米韓が何か言っても聞く耳を持たないことは明らかだ。

 ただし、中国は北朝鮮の核開発には反対している。そのため、中国からの働きかけで核開発を緩める可能性はゼロではない。

 とはいえ、それは限りなくゼロに近いだろう。繰り返すが、米国領に到達する核兵器と搭載可能ミサイルを持つことこそ、対米抑止につながり、自らの体制を守ることになるからだ。

 金正恩総書記の頭の中には、「核開発を諦めたら、米国からクーデターなどの攻撃を仕掛けられる可能性が高まる」といったロジックがある。だから、他国から対話だとか、呼びかけて交渉のテーブルにつかせるとかいっても、受け入れられる余地はほとんどない。

プーチン氏を他山の石として示威行動に専念

 第二に、プーチン大統領を「他山の石」として、実際の軍事的侵攻はせず示威的行動を続けるだろう。

 北朝鮮は、ロシアのウクライナ侵攻に関して、国連総会におけるロシアへの非難決議に「反対票」を投じた数少ない国である(中国でも棄権だった)。それだけロシアには近い姿勢を続けてきたが、ここにきてロシア側の軍事的劣勢が明らかになり、複雑な思いを抱いていることだろう。

 プーチン氏には2008年、ジョージアとの戦争においてわずか5日間で勝利し、ロシア占領地を拡大した“成功体験”がある。ところが、今回のウクライナ戦争では、ジョージアでの成功体験が完全にあだとなっている。

 金正恩総書記は、そのような轍(てつ)を踏まないためにも、直接刃を向ける軍事作戦は行わない。示威行為を続けることで抑止力を高めるだろう。

 10月6日、またしても北朝鮮が、今度は日本海へ短距離弾道ミサイル2発を発射した。Jアラートが国内各地で鳴るような事態は、いったいいつになったら終わるのだろうか。