ウクライナを機に露呈した
ロシア産エネルギー依存の危うさ
近年、カーボンニュートラル(CN)への注目が続いていたが、今年に入り、ロシアがウクライナへ侵攻したことで、世界各国でエネルギー方針がガラリと変わった。
2021年11月のCOP26(国連の第26回気候変動枠組条約締約国会議)では、2050年までにCNの実現を宣言した国が19ヵ国(うち欧州が12ヵ国)あった。100%再生可能エネルギーにするとの共同声明に参加した国は43ヵ国にものぼった。
ところが3ヵ月後に状況は一変した。ロシアへの経済制裁に参加するかしないかで、各国のエネルギー調達に大きな影響を及ぼすことになったからだ。
ロシアからの天然ガス調達依存度を見ると、フランス24%、ポーランド40%、イタリア46%、ドイツ49%、ブルガリア77%、フィンランド94%となっている。ロシアからの天然ガスが絶たれると、国民生活に支障をきたすレベルの国もある。
EU全体に占めるロシア産の比率は、天然ガスが40%、石油は25%を占めている。旧共産圏の原子炉は、ロシア型加圧水型(VVER)に集中しており、炉型に合わせた燃料供給やサービスもロシアに依存している。